【高専生向け】就職活動のステップ徹底解説!はじめに高専生の就職活動は、大学生とは異なる独自の特徴を持っています。高専生は、専門的な技術力を活かして企業から高い評価を受ける一方で、就職活動の方法や進め方について十分な情報がないと、思わぬ落とし穴にはまることもあります。この記事では、高専生がスムーズに就職活動を進められるよう、いつから何をすべきかを具体的なステップごとに徹底解説します。自分に合った就職活動の方法を見つけ、納得のいく進路選択をしていきましょう!高専からの就職活動のパターン2選高専からの企業への応募方法は主に「学校推薦」と「自由応募」の2種類があります。求人情報を活用しながら、それぞれの特徴を理解し、自分に適した方法を選びましょう。1. 学校推薦学校推薦とは、高専が推薦状を発行し、企業に学生を紹介する制度です。この方法のメリットは採用されやすいことですが、デメリットとして応募できる企業を1社に絞る必要があります。学校推薦は、高専と企業の信頼関係によって成り立っています。そのため、一度推薦を受けた企業の内定を辞退すると、学校全体の信用に関わるため、他社への応募は制限されます。高専から就職する人のうち、本科では78.8%が学校推薦で就職しており、専攻科では64.9%が学校推薦で就職しているため、現状最も一般的な就職方法と言えるでしょう。令和5年度「先導的大学改革推進委託事業」高等専門学校卒業者のキャリアパス等に関する調査研究調査報告書https://www.mext.go.jp/content/20240607-mxtdaigakuc01-0000363521.pdf2. 自由応募一方で、自由応募とは、その名の通り自由に企業などに対して応募することです。一度に複数のところへ応募を出すことができ、どこに応募するかも自分で責任をもって決定します。つまり、すべて自分の考えで判断し、自分の思うように行動できる反面、失敗もすべて自分で背負わないといけないのが自由応募です。3. スケジュールの違い学校推薦と自由応募では、就活のスケジュールも異なります。下記の図を参考に、それぞれの流れを理解しましょう。ここからは各ステップでやるべきことを詳細に解説していきます!STEP1:自己分析自己分析の重要性就活を成功させるためには、まず自己分析を行い、自分の強みや価値観を明確にすることが重要です。自己分析を行うことで、以下のメリットがあります。適職の発見:自分の強み・弱みを理解し、最適な職種を見つけられる面接対策:志望動機が明確になり、説得力のある受け答えができるキャリア形成:働く上での価値観を整理し、長期的な目標を持てる自己分析のおすすめツールストレングスファインダーストレングスファインダー(StrengthsFinder)は、個人の強みや才能を特定するためのアセスメントツールです。このツールは、約177の質問に答えることで、個人の特性や行動パターンを分析し、34種類の「資質(才能)」の中から自分に最も強く表れている資質を特定します。MBTI診断MBTI診断は、個人の性格を16タイプに分類します。「外向型(E)と内向型(I)」「感覚型(S)と直観型(N)」 「思考型(T)と感情型(F)」「判断型(J)と知覚型(P)」の4つの要素から、各々の感覚を分類します。VIA強み診断VIA強み診断は自分の価値観やモチベーションの源泉を理解するためのツールです。価値観をもとに企業選びをすることができるようになります。例えば、安定性を求める方は大企業・公務員向き、チャレンジングな環境が好きな方はスタートアップ・新規事業向き、成長機会を求める方は外資系・ベンチャー企業向きなどです。キャリアアンカーキャリアアンカーは未来のキャリア選択を考える手法です。下記のような40の質問に答えることで自分がどのようなタイプかを診断することができます。キャリアアンカーの代表的な8分類高専テクノゼミで提供しているキャリアアンカーチェックシート自己分析の進め方出来事をリストアップ:学業・部活・アルバイトの成功・失敗体験を整理詳細を深堀する:なぜ印象に残っているのか、学びを言語化行動のパターンを分析:どのような環境で力を発揮できるか考察強みと弱みを整理:自己の特性を明確にし、改善策を考える高専テクノゼミで提供している自己分析シートまた、これらの自己分析だけでなく、他の人に自分について分析してもらう「他己分析」も有効です。高専テクノゼミで提供している他己分析シートSTEP2:業界分析業界分析の重要性業界とは、企業の行なっているビジネスの分野のことです。いきなり企業を絞る前に業界分析を行うことで、企業間の比較検討ができるようになります。業界は以下のように分類できます。大分類:製造業、サービス業、IT業界など中分類:自動車、化学、情報通信など小分類:自動車部品、半導体、医療機器などまた、業界を中分類から小分類に絞る際にはサプライチェーンを考えることが大切です。サプライチェーンとは、商品が原材料の段階から消費者の手元に届くまでの流れです。例えば、自動車を例に取ると下記の図のようになります。業界分析のおすすめツール業界分析にはSTP分析が利用できます。STP分析とは業界内の企業を分類するための手法で、S(セグメンテーション)で業界内の市場を細かく分類し、T(ターゲティング)で各企業が狙う市場を理解し、P(ポジショニング)で他社との競争優位性を分析することができます。例えば、自動車業界をSTP分析してみると下記のようになります。S(セグメンテーション):EV、ガソリン車、SUV、高級車などT(ターゲティング):高級車市場、ファミリー向け市場などP(ポジショニング):トヨタは燃費性能、テスラは電動化技術など業界ごとの特徴を理解し、自分に合った分野を選びましょう!STEP3:企業分析企業分析の重要性企業分析をすることで、企業ごとの特徴を理解して自分に合った企業を選ぶことができます。また、企業の経営戦略や将来性を見極めて自分の長期的なキャリア設計を考えることができます。企業分析は下記の4つの視点で考えてみましょう。事業内容とビジネスモデル:企業が何を提供し、どのように収益を得ているか競争優位性と市場ポジション:他社と比較した強み、市場内での立ち位置財務状況:売上・利益、自己資本比率、投資傾向組織文化、働き方:企業理念、社風、福利厚生例えば、通信業界の企業を比較してみると下記のような表になります。企業分析のおすすめツール有価証券報告書有価証券報告書は、会社の成績表や通知表のようなものです。上場している企業(株式を公開している会社)は、1年間の経営状況や財務情報をまとめて、この報告書を作成しなければなりません。例えば、中間テストや期末テストの結果を報告するように、会社も投資家や国(金融庁)に対して、「今年の売上はこれくらい」「利益はこれだけ出た」「今後の事業計画はこうなる」という情報をまとめて提出します。売上高・営業利益・純利益を見て企業の利益構造を把握したり、自己資本比率を見て財務の安定性を判断したり、ROE(自己資本利益率)やROA(総資産利益率)を見て企業の資産運用の効率性をチェックしましょう。ニュースや業界レポート普段何気なく見ているニュースも企業分析に利用できます。市場全体の動向や、その企業の置かれている競争環境に着目して見てみると良いでしょう。IR資料IR資料(Investor Relations資料)とは、会社が投資家向けに作成する情報資料のことです。例えば、企業が業績や経営方針、今後の計画をわかりやすくまとめたもので、株主や投資家に「うちの会社はこんな感じで成長しています!」と伝えるために使います。IR資料を見て、経営者のビジョンや成長戦略を理解しましょう。これらの情報を活用し、自分に合った企業を選びましょう!企業が決まったらぜひインターンシップに行ってみることをおすすめします!まとめ高専生の就職活動は、「学校推薦」と「自由応募」という2つの方法があり、それぞれ異なるスケジュールで進行します。成功するためには、自己分析を行い、自分の強みや適性を明確にする業界分析を通じて、幅広い視点から企業を比較する企業分析で、具体的な企業の特徴や経営戦略を理解するこれらのステップをしっかりと実践し、自分に合った企業を選ぶことで、満足のいく就職活動が実現できます。高専テクノゼミでは、進路に悩む方に向けた「進路選択の部屋」(前回は東京大学で開催)や、就職活動で自由応募をする方をサポートするための「企業説明交流会」も開催しており、進学や就職活動を経験した先輩や他高専の学生と一緒に、企業との関係を構築しながら進路について学ぶことが出来る機会を提供しています。特に就職活動に悩む高専生の方には、今年の6月21日(土)に東京で開催する交流会がおすすめです。先着30名のみ参加可能で、交通費・宿泊費全額負担をしますので、ぜひお越しくださいね!交流会の詳細はこちら