ほとんどの高専には、遠方から通うことが難しい生徒のために、寮があります。今回の記事では寮生活について私の体験談などを元に紹介していきます。最初に伝えたいこと 寮にはメリットもデメリットも両方あると思います。メリット・他学科の学生との縁ができる!・夜遅くまで一緒に勉強したり、遊んだりすることができる!デメリット・生活する上でのルールが厳しい部分もある・年功序列な雰囲気(改善傾向にあります) 以降の記事で細かいことを紹介していきますので、興味のある方は是非ご覧になってみてください!目次1.寮とは?高専と寮について2.高専の寮のメリット3.高専の寮のデメリット4.デメリットの副産物5.高専の寮の行事6.まとめ1.寮とは?高専と寮について 寮は「遠方から通うことが難しい学生」の為に存在しています。・片道数時間かかるから登校が難しい…・高校を卒業したばかりで一人暮らしはハードルが高い… そんな学生でも高専を選択肢に入れることができる便利な制度です。 高専にもよりますが、筆者の在学していた徳山高専は同じ敷地内に寮がありましたし、登校にかかる時間は、走れば5分とかかリませんでした。 入寮できる条件は様々で、希望者なら誰でも入寮可能な場合や 「自宅からの通学時間が○時間を越える者」などの条件がある場合があります。詳細は各高専のHPをご覧になるか、お問い合わせなどで確認してください。2.高専の寮のメリット 寮にはメリットがあり、それは通学距離が短くなることだけではありません。 その1 他学科の学生との縁ができる 徳山高専の場合は2年時からは学科ごとでクラスが卒業まで固定だった為、体育の授業や部活動など以外では、他学科の学生と交流がほぼ無いです。 その点寮生は、一緒に暮らし、一緒にご飯を食べ、一緒にお風呂に入る。 まさに衣食住を共にするような環境なので自然と寮生同士の交流が生まれ、学科は関係なく友人が増えます。 その2 夜遅くまで勉強を一緒にできる テスト前などに、よく同じ部屋に集まって勉強を見てもらったりしていました。課題についてわからないことなどもすぐ聞けたり、テスト範囲を聞き逃していて助け合ったり。 食堂が勉強用に開放されることなどもあったので、いつも集まって遅くまで勉強している風景などがよく見られました。 私が1番嬉しかったことは「精神面での余裕」が生まれることでした。孤独に膨大なテスト範囲を勉強していると、どうしても心が折れそうになる時があります。そんなとき、食堂に行けば友人がいて「あぁ、みんな頑張ってるんだな」と、そう思えることで私は心が楽になっていました。 その3 夜遅くまで遊べる よく仲のいい人同士で部屋に集まって談笑したり遊んだりしていました。 この時間はとても楽しかったです。普通の通学生ですと、友人の家に泊まりでもしない限りできないようなワイワイした空間が、寮生にとって当たり前なのも良い点だったと思います。中にはその友人の部屋でそのまま寝て、朝の点呼で慌てて自分の部屋に戻っていくような人もいました。 その4 便利な設備 各階に、軽い軽食を作れるキッチンのような部屋があり、カップ麺・ふくろ麺を作ったり、簡単な料理なども作れるようになっていました。テスト前の夜中に、友達とそこで鉢合わせた時など、少しほっこりします。 自転車置き場があり、自分が持ってきた自転車を置いている人が沢山いましたが、申請したら借りられる「電動自転車(通称:電チャリ)」なども便利でした。買い出しのために100円ショップやスーパーに行くとき等、とてもお世話になりました。3.高専の寮のデメリット 寮生活にはデメリットも感じました。寮生だったからこそ友達が増えたのも事実ですが、私は自宅から通えるのなら寮生を選ばず、通っていたと思います。 その1 厳しい生活ルール 寮生には規則があります。それを破ると反省文を書くことになったり、それが続くようなら三者面談が行われたり、退寮の勧告がされてしまいます。 まずは「点呼」です。朝と夜、自分の部屋の前で、宿直の先生が巡回に来るのを待ちます。この時間は決まっており、その時間には絶対に部屋の前にいなければいけません。その時間まで友達と外に遊びに行っていたり、黙って友達の家に泊まったりすることも許されません。 門限もあります。自宅に帰省するのも数日前から申請する必要がありました。これは卒業するまで全員一律同じルールなので、上級生にとっては窮屈かもしれません。そのため、上級生になる頃には一人暮らしを始める人もいました。 「時間に決まりがある」ことも大変だと思います。朝食の時間、昼食の時間、夕食の時間。さらにお風呂に入れる時間など、いろいろなことが決められており、ある程度時間に幅はありますが、寮にいる限りその時間内に済ませないといけません。朝が苦手で、朝ごはんを食べずにギリギリまで寝ている人などもいました。 「共同生活」が強制なのも苦手な人にとっては苦痛だと思います。1年生〜3年生は「相部屋」で、一つの部屋に二人で住むことになっていました。学校から帰っても一人の時間は殆どなく、相部屋の人と過ごすことになります。幸い私は、相部屋をきっかけに仲良くなったり、元々仲のいい相手と相部屋になることが多かったので、あまり苦には感じませんでした。 早く寝たい人と、遅くまで起きがちな人が相部屋になると、部屋の消灯のタイミングの相談などを行うことになるかもしれません。 その2 年功序列な雰囲気 これは現在は改善傾向にあるようです。 私の入学当時はまだ残っていて、寮内・寮外を問わず、先輩に出会ったりすれ違ったりすると、大声での挨拶が強要されていました。「挨拶の声が小さい」と真夜中に1年生を食堂に集めて説教するような文化も残っていました。 他にも、ここで紹介しきれないような理不尽なルールがたくさんあり、特に覚えているのは「1年生は食堂への『ふりかけ』持ち込み禁止」でした。 幸い、昨年まで在籍していた友人によると、そのような文化は現在は残っておらず、これから徳山高専の寮に入寮する人は私たちの世代のような嫌な思いはしなくて済むと考えられます。本当に良かったです…。 その3 掃除当番など 寮内の清掃も自分たちでする必要があります。私の在籍していた頃と同じルールなら、これらは下級生の1、2年生の役割になります。 朝早めに起きて、廊下やトイレなどの清掃の当番があったり、点呼の際の寮内放送などもありました。 慣れると気になりませんでしたが、最初は大変かもしれません。4.デメリットの副産物 後から考えると悪いことだけではなかったと思ったものを紹介します。 それは「強制的な規則正しい生活」です。 夜の点呼後、寝る時間は自由ですが朝起きる時間は絶対決まっているので、休日に二度寝をすることがあってもとりあえず「夜寝て朝の決まった時間に起きる」というサイクルが確立できます。 ご飯も同様、決まった時間に食べに行かないと食べ損ねるので、毎日同じ時間、しかも栄養バランスが考えられた献立が出てきます。 後に一人暮らしをして分かったことですが「寮にいれば強制的に規則正しい生活を送れる」ということに気が付きました。5.高専の寮の行事 私の住んでいた寮には行事もありました。 休日に体育館などを貸し切って、縦割りでチームを作って勝敗を競う「寮生マッチ」や、「花火大会」や「クリスマス会」などもありました。同じ学年の友人たちとワイワイできるのは楽しかったです。6.まとめ 寮があるため、遠方から高専に通うことが難しい人でも選択肢に入れられる! 寮生同士のコミュニティで、本来できない様々な友人が作れる! 毎日がお泊まり!遅くまで一緒に勉強できたり一緒に遊べるのが日常。 寮のルールは大変!時間も決められていて夜遊び禁止。 昭和な年功序列は改善傾向!嫌な思いをしなくて済むのなら何よりです! また、高専テクノゼミでは寮生さんの生徒も募集しています。オンライン指導で、寮生の方でも問題なく受講していただくことが可能です。 今回の記事で高専や寮に興味を持ってもらえたら幸いです。 私にとって、寮生時代に苦楽を共にした友人は、今でもかけがえのない宝物です。 高専の受験を考えている方は、一度検討してみてはいかがでしょうか。