こんにちは、令和3年度東京大学工学部電気電子工学科に合格したucchiです。今回は高専から東京大学編入試験に合格するまでの体験談について書こうと思います。高専から大学編入を考えている高専生にぜひ読んでいただければと思います。数学編入試験過去問特訓:編入試験の問題に手を付けられるように勉強東京大学の過去問:実力を付けるというよりは過去問を通して試験に慣れることを重視英語ポレポレ英文読解プロセス50:英文の読み方が分かりやすく解説されており、英文解釈が微妙だなと感じる人にはおすすめ英作文ハイパートレーニング和文英訳編:ある程度英作文のやり方が分かる鉄緑会東大英単語熟語鉄壁:単語力の補強リンガメタリカ:科学系の単語が多く載っている単語帳物理大学生の初等力学:考え方も丁寧に解説されている電磁気学演習(有名な黄色の本):電磁気はほとんどこの問題集を使って勉強自己紹介在学高専・学科:豊田高専 電気・電子システム工学科得意科目:電気回路苦手科目:国語趣味:スキー、漫画高専での順位1年:1位2年:1位3年:1位4年:1位5年:1位豊田高専では明確な順位が発表されないので詳しくは知りませんがおそらくクラスで1番はとれていたと思います。高専からの大学編入で東京大学を選んだきっかけ元々東大にはドラゴン桜というドラマの影響もあり小さい頃から憧れがありました。高専4年生になった時に改めて編入先を考えていたところ、高専の先生から旧帝大は研究費がたくさんあること、特に東大は多いことを聞いたので潤沢な資金で研究できることに魅力を感じました。実際に東大の研究室を調べると面白そうな研究室がたくさんあり、高専ではできないような大規模な研究が行われており、非常に環境に恵まれていると感じました。また、モーターやワイヤレス給電になんとなく興味をいだいており、偶然走行中にワイヤレス給電を行う電気自動車の研究をしている研究室を東大で見つけたので、ますます東大に編入したい気持ちが強まりました。二年次編入ということもあり迷っていましたが最終的には、学校内での成績も良かったのでとりあえず受けるだけ受けようと思い受験することを決めました。あとは単純に東大に入れたら、カッコ良いと思ったという不純な理由もあります。東京大学編入の併願校とその理由私は下記の大学を併願しました。大阪大学基礎工学部知能システム工学科高専時代にロボコンに参加していたこともあり、ロボットの研究にも興味があったので受験しました。専門科目(私は制御工学、電子回路を選択しました)も受験科目に含まれていたので勉強が少し大変でした。名古屋大学工学部電気電子情報工学科(出願のみ)地元で実家から通いやすく、友人も在籍していたため比較的過ごしやすいと思ったので出願をしました。しかし受験日より先に東大の合格が分かったので受験はしていません。以上が私が併願した大学ですが、第一志望の大学と似たような範囲が出る大学を併願することをおすすめします。受けることはありませんでしたが、名古屋大学は化学も出題されるのでもし受験していたら化学も勉強する必要があり、おそらくうまくいかなかったと思います。下手に受験に必要な科目を増やさないように注意しましょう。同じ科目であっても傾向が異なる場合もあるので過去問を見て判断したほうが良いと思います。高専から東京大学編入の教科別試験対策法数学数学の勉強は主に「編入試験過去問特訓」と東大の編入試験の過去問を用いて勉強しました。東大の最近の傾向として、微分方程式、確率、複素解析、行列の4つの分野から出題されます。微分方程式、行列はほとんどの編入試験で頻出で、確率も比較的多くの大学で出題されるので自ずと勉強されると思います。複素解析はあまり見かけることがない上にほとんどの高専で学ばない分野だと思います。しかし、やり方を理解してしまえば解ける分野なので根気良く勉強しましょう。私は勉強開始時期が4年11月と非常に遅かったので、ミスをできるだけなくすこと、解ける問題を解き切ること(問題文に惑わされないようにすること)を目標に勉強しました。まずは「編入試験過去問特訓」を用いて編入試験の問題に手を付けられるように勉強し、その後に過去問を何度か解きなおしました。時間も限られていたため、実力を付けるというよりは過去問を通して試験に慣れることを重視していました。英語まずはTOEICで点数を取ることを目標にしていました。東大はTOEICの点数を提出することは出来ますが、任意なので東大を受験するだけの場合はあまり必要ないかもしれないです。しかし他の大学で必要になる場合も多いので早めにTOEICで点数を出して残りの時間を筆記試験対策に充てたほうが良いと思います。実際の試験対策には「ポレポレ英文読解プロセス50」、「英作文ハイパートレーニング和文英訳編」「鉄緑会東大英単語熟語鉄壁」を使用しました。ポレポレは英文の読み方が分かりやすく解説されており、英文解釈が微妙だなと感じる人にはおすすめです。「英作文ハイパートレーニング和文英訳編」は慌てて6月くらいから始めましたが、2,3週行うことである程度英作文のやり方が分かり、本番でもそこそこ書くことができました。「鉄緑会東大英単語熟語鉄壁」は単語力の補強のために使っていました。体験談で過去の編入生の方が使っていらっしゃったので使っていましたが、東大の編入試験は科学系の論文が用いられることが多いので科学系の単語が多く載っている単語帳(リンガメタリカなど)のほうが適していると思います。理科(物理) 私が志望した電気電子工学科は理科(物理3問、化学3問から物理2問とその他1問を選択)が必要でした。物理は力学、電磁気、その他の物理、化学は物理化学、有機化学、無機化学から出題されます。化学は高専でほとんど勉強していなかったので物理3問を解くことにしました。力学は友人から勧められた「大学生の初等力学」という本を主に使っていました。この本は個人的に結構わかりやすく、考え方も丁寧に解説されているので非常に役立ちました。電磁気はサイエンス社の電磁気学演習(有名な黄色の本)を友人から借りて解いてました。電磁気はほとんどこの問題集を使って勉強しました。また電気科に在籍していたこともあり5年前期に電磁気の授業があったので授業を通して知識の確認も行いました。第三問で出る物理は出題範囲が不明過ぎました。2018年以前は波動と熱力学がよく出題され、まれに量子力学が出題されていました。2019年はヤング率に関する問題、2020年はばねにつながれた物体の運動についての問題だったので対策が非常に難しかったです。第三問で完璧に答えることは難しいと思ったので知識だけ付けておこうと思い、マセマの熱力学を少し読み、流体力学の基礎を少しだけ勉強しました。第三問に関しては全く解けないという状態を避けることだけを意識し、あまりしっかりとは勉強していません。何が出るか分からない状況だったので確実に出ると思われる力学、電磁気を勉強したほうが得点を期待できると思ったこともありあまり時間を割きませんでした。余裕がある場合は化学を選択して勉強してもよいと思います。面接一般的に面接で聞かれるような内容である、自己紹介、志望動機(志望する研究室)、卒研内容、課外活動についてきちんと答えられるようにあらかじめ伝えたいことを考えました。また、志望した研究室が電気自動車について研究していたので電気自動車に関する簡単な知識や問題点を確認しておきました。過去に英語面接があったそうなので少し心配でしたが、ここ数年なかったのでないだろうと思い英語面接の対策はほとんどしていません。東京大学編入試験当日数学 問題構成は例年と変わらず内容は微分方程式、確率、複素解析、行列でした。微分方程式は例年そこまで難しくはないのですが、今年は少し難易度が上がったように感じました。そのおかげか焦ってしまいほとんど解けませんでした。その他の問題は例年と同じくらいだったような印象で、大体どの問題も最後の小問以外は解けました。体感としては微分方程式 4割確率 7~8割複素解析 7~8割行列 7~8割くらいでした。全体としてなんとなく6割とれたかなという印象でした。 英語 英語も例年と同様に和訳、英訳、長文読解の順番で出題されました。和訳はzoom疲れに関する内容でそこまで難しくありませんでした。英訳は量子コンピュータに関する内容でしたが、昨年度の問題よりもかなり訳しやすかったと思います。長文読解は微生物や細菌に関する内容でした。特に難しい表現もなくすべて解くことができました。英語はすべての問題を解くことができましたが、採点基準がよくわからないので全体として大体6割くらいとれたかなという印象でした。理科(物理)理科は化学の問題に全く手を付けられそうになかったので物理を3問解くことにしました。例年通り、力学、電磁気の問題と今年は波動の問題が出題されました。力学の問題は坂を転がる物体の問題でした。落ち着いて解けばそこまで難しい問題ではありませんでした。電磁気は磁界を横切る導体棒に関する問題でした。途中、導体棒が坂を下るという設定になり、運動方程式を使いましたが全体として特に難しくはなかったです。第三問は今回は波動に関する問題でした。これに関しては全く勉強してなかったため、最初の問題で躓き、途中まで頑張ったことだけアピールして、力学と電磁気の問題に集中しました。力学と電磁気の問題は全て解けたのでぎりぎり6割あるかなという感じでした。面接面接は圧迫面接でも英語面接でもなく普通の面接でした。大体5分ほどだったと思います。聞かれたことは・志望学科と志望動機を簡単に・行きたい研究室・電気自動車が抱えている問題は?・卒業研究について・留学についてでした。あまり志望理由書で強調しなかった留学について聞かれたことが驚きでした。逆に志望動機にも絡めたロボコンについては一切触れられませんでした。卒業研究についてはもっと教えてと追及され、問題点やデメリットなども聞かれました。編入試験勉強で忙しいとは思いますが卒業研究について分からないことがあれば研究室の先生に確認しておきましょう。面接官は10人弱いましたが、2,3人のみから質問されました。かなり緊張していましたが、面接官は基本的にうなずいて聞いてくれたので安心できました。全体的に落としに来るような面接ではなく、むしろ合格させるための面接のように感じました。高専から大学編入を目指しているみなさんへ私は常に時間がない状態で勉強をしていました。しかし過去問や、他の方の体験談などの情報を集め、自分なりの作戦を考えることでギリギリではありますが合格することができました。編入試験は早く始めた方が確実に有利になるので早めに始めるべきですが、もし機会を失い私のようにスタートが遅くなってしまっても方法次第で合格する可能性はあると思います。今何が足りないかを常に考えて情報を収集し、勉強を頑張ってください。