筆者は徳山高専に入学後、4年次の夏に退学をしました。そして翌年の春から、東京のゲーム制作系の専門学校に入学しました。1.高専からの退学について 2.進路変更について 3.東京の専門学校 4.やっておいた方がいいこと 5.意外に役に立った高専での知識6.悩んでいるすべての方々に 7.まとめ1.高専からの退学について 私は3年終了時での私の成績は真ん中のやや下ほどでした。落としている単位は無く、進級に不安はありませんでした。 しかし、いつの間にかモチベーションを失っていました。一番大きな理由は、専門分野への興味をなくしてしまったことです。 4年生からは、3年時までカリキュラムに組み込まれていた実践的な演習がなくなり、数学を用いた専門的な教科が増えていきました。私はプログラムやCAD等の実践的な演習が好きだったので、その時間が無くなるのは悲しかったですし、専門的な授業が高度になって行くにつれ、つまづく回数と頻度が日に日に増えていました。 モノづくりが好きだった私は、機械電気工学という分野に対して「好き」を見失ってしまいました。4年生の前期を終える頃には、全てのテストで殆ど点数が取れていなかったと思います。 就職先についても、好きではなくなってしまった分野に魅力を感じず、勉強も大嫌いだった私は進学という選択肢を選ぶこともせず、途方に暮れていました。 色々考えた結果高専を辞めようと決めました。2.高専から専門学校への進路変更について 最初に相談したのは両親でした。「高専を辞めたい」と相談した時の両親からの返答は「辞めるのは構わない」ということでした。凄く意外でした。 辞めるのには絶対反対されるだろうと思っていましたから、すぐそう言われたことに対してとても驚いたのを覚えています。 ただ「何かやりたいことがあって辞めるという選択肢を取る」ということなら理解するけれど「辞めた後に何もしないのに辞めるというのはよくない」と言われました。 かなり衝動的だった私に対して、きちんと丁寧に道を示してくれた親には感謝しかありません。 折角なので、私の中にまだ残っていた「好き」を参考に探してみました。 ゲームを作る仕事って楽しそうじゃないか?ゲームが大好きだった私は、そう思いました。3.東京の専門学校 ゲーム制作を学べる専門学校、私が見つけたその学校はAO入試の締め切りが9月の上旬ほどまで受け付けており、まだ募集期間内だったため思い切ってそこに決め、相談しました。 当時の担任の先生はとても親身になって相談してくださいました。本当は高専を卒業してからの方が私にとっても都合が良いことや、進学などについても事細かく話を聞いてくださいました。最終的に私の意見を尊重してくださり、夏休み明けに正式に退学となりました。 そして、2020年度の4月から東京の専門学校に通い始めました。 最初に驚いたことは、テストが全く無かったことです。 重視されるのは課題などの成果物がほとんどで、座学よりも実践的な授業が多かったことです。私には合っていたので、特に困ることはなく楽しい学生生活を送っていましたが、高専の頃の「授業を受けて、課題やテストに備える」という形態とは全く違う物だったので最初は驚きました。 グループワークでのゲーム制作なども行いました。大変だと思ったのは、「人脈の形成」でした。良い企画を考える友人や、凄腕のプログラマーに運よく巡り会えた私は、楽しく、満足のいくものを制作できましたが、やはりグループワークを行うメンバーはとても大事で、巡り合わせやいわゆるコミュ力がとても重要だったと思います。4.やっておいたほうがいいこと 私の場合(ゲームの専門学校)の視点で、やっておいたほうがいいことは「アイデアを貯金する」ことです。 何かを作るとき「今から考えてください!」と言われて考え始める人と、普段から色々なアイデアをストックしておいてそこから引き出すことができる人では差が生まれます。 このような言う考え方は、私が辿った進路に限ることではなく、様々な場面で役に立つものだと思います。 私の場合は、企画・シナリオ専攻でしたが プログラマーなら本を買って読んだり、簡単なゲームを自主制作したり。 イラストレーターだったら、自分でモチーフを決めてキャラクターデザインをしてみたり。自分が目指す道のことに対する経験値を積んでおくのはとても有意義だと思います。5.意外に役に立った高専での知識 高専を辞める際「高専で学んだことは全て無駄になるんだな。」そう思っていました。 私を励ましてくれたたくさんの人達の中に「きっと何かの役に立つから」そう言ってくれた方がいました。それは先生方達の中でも一番交流が多かった、部活の顧問の先生でした。 最初は励ましてくれるために何となくそう声をかけてくれたんだ、という程度に考えていましたが、その言葉に後々私は驚くことになりました。 ゲーム制作の道を学び始めて2年目の後半、私は企画をうまく進められず、チームも解散になり、落ち込んでいました。そんな時、声をかけてくれたのが、その学校でできた気の合う仲間でした。その人は、まさに何でもできるゲームの企画者でした。 途方に暮れていた私にその人は「高専で物作ってたんだよね?音ゲー作りたいんだけどコントローラー作れる?」そう言いました。正直、最初は不安でした。 失敗続きで何もかもうまくいかないと思っていた私は、慎重に相談しながら作業を進めていました。 「最悪キーボードでも遊べるようにしよう」「あまり期待しないでくれ」そう言い合いながら、結局すごくいいものが出来上がりました。初めてと言っていいほどの成果を上げた私は、周囲からは賞賛され、自信も持てました。「音ゲーの専用コントローラー」そんなものが作れたのも高専で、ものづくりを学んでいたからです。驚愕しました。 まさか本当に高専で学んだことが役に立ってしまうとは。 進路変更は大変なことで、後ろめたさが募るものだと思います。 しかし、自分が頑張ってきたことはいつか自分の力になってくれる。 高専で培ったことがあったからこそ、できることがあった。 そう強く思えた出来事でした。6.悩んでいる全ての方々に ここまで私の遍歴を書いてきましたが、私は両親に、先生達に、友達に。沢山の人達に支えられてここまで生きてくることができました。 この記事を読んでくださっている方々にも、さまざまな悩みや不安があると思います。そんな時、どうか一人で抱え込まず、誰かに助けを求めてください。周りにはきっとあなたを助けてくれる人がいらっしゃいます。 特に高専は、テストやレポート、部活動など非常にやることが多く大変な環境だと思います。徹夜を繰り返して体を壊したり、抱え込みすぎて精神が摩耗してしまった人をたくさん見てきました。 成績や大会なども大切ですが、ひとつしかない自分の身体に勝る財産はないと、私は考えております。 どうか、無理をなさらないでください。7.まとめ 進路変更は先生や先輩とよく相談して決めましょう。高専にはさまざまな分野の先生や、さまざまな進路を歩んだ先輩がいらっしゃるでしょうから、きっとあなたの進路の悩みに真摯に向き合ってくれる方がいらっしゃいます。 専門学校に進学したら、そこは自主性が大きく求められます。やりたいことに向かって、如何に自分から学びにいくかで自身のスキルが上下します。 成績と言うような基準はあまりなく、成果物が就職の際の強みになると思います。 進路変更に限ったことではなく、日常での不安や悩みは抱え込まず、周囲に助けを求めてください。 進路変更で悩んでいる方に、この記事が少しでも参考になれば幸いです。関連:https://gameparade.creators-guild.com/works/274