こんにちは、令和3年度九州大学工学部電気情報工学科に合格した乙部響です。今回は高専から九州大学編入試験に合格するまでの体験談について書こうと思います。高専から大学編入を考えている高専生にぜひ読んでいただければと思います.まずは私のプロフィールを簡単に紹介したいと思います.自己紹介在学高専・学科:北九州高専 生産デザイン工学科 電気電子コース得意科目:数学・電磁気苦手科目:英語趣味:ゲーム・飲み会高専での順位1年:12位2年:11位3年:11位4年:18位5年:11位高専からの大学編入で九州大学を選んだきっかけ大学進学を志したきっかけは高専で勉強したことだけで社会に出ることへの漠然とした不安があり,自分のできることをもっと増やしたい!と思ったためです.そう考えたとき,どうせなら自分の目指せる最高レベルの学校を目指したかったので,北九州高専から先輩も多く進学している九州大学を選びました.特にこの研究がしたいから選んだ!といった大層なきっかけはありません.地元が比較的近いというのも理由の一つです.九州大学編入の併願校とその理由・豊橋技術科学大学 高専生が全国から集まる大学であるため,就職や研究も強いと聞いたためです.また,研究レベルや大学としての質のわりに募集人数が多いため入りやすいです.・熊本大学 地元から近くの国立大学で九州大学のすべり止めとして機能するレベルの大学だったからです.試験科目が少なく,本命の勉強に集中できると思いました.高専から九州大学編入の教科別試験対策法 数学林義実・小谷泰介共著「大学編入試験問題 数学/徹底演習」の問題をひたすらに解くといいと思います.旧帝大や,その他難関大学の三年次編入試験の過去問を厳選して単元ごとにまとめた本なので,確実に実践力が付きます.この本の解説だけで難しい場合は編入数学徹底研究という本を用いると良いかと思います(自分は使っていないですが,他の人が使っているのをみて良さそうだと感じました).また,過去問も非常に大切で,範囲が広いと名高い九大編入数学ですが,何年分も解くと微分方程式や複素関数の範囲は出やすいといった傾向をつかむことができます.すべてをまんべんなくできるようにするのはほぼ不可能ですので,傾向は大きな武器になります. 英語自分は対策不足で痛い目を見ました.かなり工学分野に寄った問題が出るため,「COCET 2600」の単語を覚えることをお勧めします.文法などは特に難しいものがあったというイメージはないため,とにかく単語力をつけることを意識すると良いです.「DUO 3.0」という単語帳も覚えやすくおすすめです.とにかく早くからコツコツと対策をしましょう. 専門(電気回路)少々高価ではあるのですが「詳解 電気回路演習 上・下」という専門書をおすすめします.大量の問題が載っており,かなり広範囲をカバーして勉強できます.また,面倒くさい計算がある問題が多く,計算が面倒くさい問題の比較的多い九大の編入試験とのシナジーもあります.専門(電磁気)電気回路と同じく「詳解 電磁気学演習」に並び,朝倉書店出版の「電気電子工学シリーズ1 電磁気学」をお勧めします.前者は電気回路と同じ理由で,大量の問題が載っていて広範囲の対策が可能です.後者に関しては九大の先生が書いている本なので比較的試験本番と似たテイストの問題を解くことができます.問題数はそこまで多くないですが,その分理論についての解説が多く,1から電磁気を学びなおすのに適している本です. 面接特にこれといった対策は必要ないように感じました.実際にほぼ対策はしていません.人と話すことが著しく苦手,という方は面接練習をしておくといいかもしれません.強いて言うならば,自分が行きたい研究室とその研究室の教授の名前くらいはリサーチしておくといいかもしれないです.結局はテストのできなのでうまくいかなくてもそこまで気にする必要はないとおもいます(体感).全体を通して言えること英語以外の教科は,まず問題を解き,わからない部分は解説を見て理解してもう一度解くという勉強法が効率が良いと思います.最初から過去問を解いてみるというのもおすすめです.自分がどこに到達すればいいのかはっきりとわかるため,勉強のスケジュール決めや,モチベーションの増加につながります.英語はひたすら暗記しましょう.九州大学編入試験当日数学6~7割くらいはとれたかなという感覚です.大問4問構成で2時間制.行列・微分方程式・ベクトル・確率の問題構成でした.行列:例年より簡単に感じました.徹底演習をしていれば問題なかったです.微分方程式:誘導付きで例年より非常に簡単でした.ベクトル:前半は簡単でしたが計算が非常に大変でたどり着く答えもすっきりしないようなもので不安でした.後半の小問が少し難しく感じました.確率:鬼のような難易度でした.手が付けられなかったのでほぼ白紙で出しました.英語体感では4割くらいしか解けませんでした.長文を読んで数問答える形式と,和文英訳が出ました.ただただ単語が分からないという感じで,勉強不足を感じつつも筆記形式での回答だったのでわかる単語から内容を推察してなんとか解答用紙を埋めた感じです.電気回路9割5分はとれたと思います.大問3問構成で90分制,電力,ブリッジ回路,過渡現象の問題構成でした.特にいうことがないくらい,例年より大幅に簡単でした.例年はかなり計算をさせる問題が出ていたのですが,今回はそのような問題もなく,基本的な問題ばかりでした.無効電力の単位[var]を[W]と間違えて書きました.電磁気9割はとれたと思います.こちらも大問3問構成で90分制,電荷と電界,磁界・電磁力・電気双極子モーメント,電気影像法の問題構成でした.例年より簡単と感じましたが,磁界の範囲でトルクを扱う問題が出て,それは少し難しかったです.たまたま数学のほうで外積とトルクの関係やモーメントについて勉強していたのでピンと来て解けました.それ以外はほぼ基本的な問題でしたが,電界の問題については図がなく,文章の説明から解かないといけなかったため,少しややこしかったです.面接当たり障りのないことばかり聞かれました.気になっている研究室や,高専での研究内容,修士に行くつもりはあるかなど.直接的に試験の結果にかかわりはないんだろうなと思う内容でした.高専から大学編入を目指しているみなさんへ 高専からの大学編入は非常に夢のある制度だと思います.普通科の進学校に行った人たちは,3年間かけて大学へ入るための勉強をします.しかし,編入学は試験の問題が少ない等の理由からそこまで勉強の時間がとられません.また,一教科に対してさける時間も多く,より濃い理解が得られるため,自分の実力よりワンランク上の大学を目指すことも難しくありません.普段の授業をしっかりと受けていれば,そこまで根詰めた勉強も必要ないでしょう.実際に私は半年ほどの勉強で合格することができました.一年生から五年間専門教育を受けているので編入後も後れを取るどころか周りの学生より一歩リードできますし,何より高専の五年間をきっちりと楽しんだうえで大学に入ることができます.就職する人に比べれば長い間苦しい期間が続きますが,それも長くても半年程度.こんなにメリットのある編入学を目指していると思ったら,勉強の力が湧いてきませんか? 受験が終わってしまえば楽しいことばかりです.今は永遠にも思える長い受験期間ですが,終わってしまえば好きなことをたくさんできます.そんな時,第一志望合格という清々しい気持ちでいられたら最高ですよね.かくいう私も受験が終わってから卒業するまでに何度も旅行をしました.終わった後の楽しいことというのは最高のモチベーションになります.合格まで,モチベーション高く頑張りましょう!