高専テクノゼミで数学・物理・電気系科目の講師をしております、九州大学 電気情報工学科4年のEYです。今回は高専からの大学編入と高校からの大学受験、どちらがおすすめか、話していきたいと思います。理工系で高いレベルの大学へ進学したい場合は高専からの大学編入がおすすめ理工系への興味がある中学生のなかで、より高いレベルの大学へ進学したい人は高専からの大学編入がおすすめです。おすすめする理由として次の3点があります。高専で学んだことを生かせる高専からの大学編入は受験機会が多い高専からの大学編入は科目が少ない以上3点のおすすめする理由を詳しく解説していきます。高専で学んだことを生かせる高専では大学学部相当の内容を高校1年生からの5年間で学習します。高専修了後に大学に編入する場合大学3年生から入学するケースがほとんどです。大学3年生の段階では高校から進学の学生はまだ学部2年間しか専門を学習していないのに、高専からの編入生はすでに5年間の長い工学のバックグラウンドがあるということになります。実は、レベルの高い大学でも、それほど高専と授業内容は変わらないです。専門に関しての深い理解のもと、学部4年以降の研究活動ができるのでメリットになります。高専からの大学編入は受験機会が多い高校からの国立大学受験の場合、基本的に前期日程と後期日程の2回しかありません。そのため受験できる国公立大学は最大2校までとなり、非常にプレッシャーが大きいです。しかし、高専からの大学編入は日程がばらばらであることが多いので、複数校を受験できます。レベルの高い大学を複数受験している人も実際存在します。複数の大学に合格する学生もいて、私の高専の先輩に東京工業大、名古屋大に両方合格している学生もいます。高専からの大学編入は受験科目が少ない高校から大学受験する場合、大学入学共通テストを受験して大学個別に設けられた2次試験を受けることになります。例として、九州大学工学部電気情報工学科をとりあげます。高校から受験する場合(前期日程)、共通テストでは、国語、地理歴史公民1科目、数学2科目、理科2科目、英語、そして2次試験で、数学、物理、化学、英語を受験します。対して、高専からの編入学試験の場合、数学、英語、専門だけになります。科目数が少ない分、対策がしやすく、受験生の負担はそれほど重くならないといえます。特に、最近の傾向として、英語の試験を筆記試験からTOEICやTOEFLに代替するところが多くなってきています。大学院入試でもこの傾向が見られます。最高スコアを提出すればよいので、受験までの2年(募集要項で規定されていることが多い)の間に何回か受験チャンスがあるということです。英語さえ、高専の低学年から準備しておくことができれば、スコアを準備した後から、数学や専門などを勉強することができます。そのため、科目を絞って準備できるでしょう。理工系で大学への推薦入学を利用したい学生は高専からの大学編入がおすすめ昔と比較して、高専から理工系で大学へ編入するための入学試験について、推薦入試が増えてきました。高専生は千葉大や金沢大、岡山大へ推薦入試で編入することができます。また、九州大や北海道大でも推薦入試があります。このような大学への推薦入試では高専での成績が重視されるため、高専での勉強を頑張れば、推薦で大学へ行けるルートが設けられます。高校から大学受験する際にも推薦の制度がありますが、推薦受験で入学する学生の割合はあまり高くありません。しかし、高専からの編入の場合は半数以上が推薦ということが多いです。実際、私の所属している学科では12人中6人が推薦です。このように、様々な大学で高専からの大学編入生に対する期待の高さから、編入学を確約できる推薦入試で学生を確保しようとする傾向があるようです。学費を安く抑えて専門を早くから学びたい学生は高専からの大学編入がおすすめ高校から大学へ入学する場合、高校3年間と大学4年間の学費がかかります。高専から大学編入する場合では、高専5年間と大学2年間の学費がかかります。前者は約261万円で後者は約279万円です。高専3年までは高等学校支援制度が適用されるので、支援を受けた場合の金額差はさらに大きくなります。また、私立大学の場合は学費がさらに高いので、国立大学への編入の機会が多い高専生は恵まれています。総じて、早期から専門教育を実施しているにもかかわらず、安い高専の学費は家計にやさしいといえるのではないでしょうか。高専によりますが、1年生から(コース制のところは3年から)専門科目を勉強したり、専門の実験を行ったりするので、専門への興味関心のある人にとっては充実しているといえるのではないかと思います。そのような早期専門教育を行った高専からの編入生は、専門性に関して大学で評価されています。高専で手を動かすことを学び、大学・大学院で理論をもとに考えることを学んだ学生は、社会における強力な戦力となるでしょう。また、編入先の大学として技術科学大学という大学が豊橋と長岡にあります。この2校は、優秀学生の学費支援制度が設けられています。豊橋技科大では、家計状況によらず特別優秀学生奨学金が支給されます。URL<https://www.tut.ac.jp/student/program.html#anc02>長岡技科大では、VOS特待制度という学費免除制度があります。URL<https://www.nagaokaut.ac.jp/nyuushi/nyugakushiken/tokutaisei.html>一般的な奨学金は家計が奨学金の審査にかかわりますが、両大学の奨学金は一般的な奨学金とは違い、学業を頑張れば得をする制度です。理工系以外の興味がある場合は高校からの大学受験がおすすめ高専とは、工学を学ぶ5年制の高等教育機関です。そのため、理工系に関する学習意欲があって大学に進学したい中学生の場合、高専から大学編入をおすすめします。しかし、理工系にかかわらず、他の分野にも興味がある場合、高校から大学へ行くことも視野に入れておいたほうが良いでしょう。高専からの大学編入では理工系の学部学科が多く、その他の学部学科への進学は未学習の内容も多いため難易度は高いです。その点、理工系への編入は高専で学んだことを生かせられるため、高専生にとってハードルは高くないです。理工系への興味関心がある中学生は問題ないですが、そうでない場合は普通高校への進学を推薦します。学生の間は考え方や視野が変化しやすく、高校3年間を通して将来を見つめなおすことができるかもしれません。参考書など対策方法が豊富なのは高校から大学受験である当たり前ですが、高校から大学受験する学生の割合は高専から大学編入する学生に比べて多いです。そのため受験に対するサポートが充実しており、様々な塾や参考書などが存在しています。多くの高校生は塾へ通い、大学受験を目標に勉強します。各大学の出題傾向や共通テストの分析が豊富で、対策しやすい環境にあると思います。高校から大学受験に対して、高専から大学編入する場合は、各学生が情報収集・試験対策・勉強を自身で行う必要があります。自立して行動する必要があるので大変です。そこで、高専テクノゼミというサービスがあります。高専での定期試験対策ができるだけでなく、高専からの大学編入を支援することができます。高専卒の旧帝大編入生が中心の講師陣が勉強をサポートしています。高専テクノゼミは個別指導であるため、分からないところをその都度質問しながら勉強ができます。こうしたサービスがあるので、受験対策に関してのデメリットは小さくなっていると考えられます。高専卒旧帝大生が語る、高専からの大学編入と高校からの大学受験、どちらがおすすめかのまとめ以上のように、高専から大学編入する場合と高校から大学受験する場合と比較して、様々なメリット・デメリットが存在していることがわかります。どちらのルートで大学へ行っても間違いということはありません。中学生でその決定をするのは難しいですが、保護者とよく相談して進路を決めていくのが大事だと思います。