これまで多くの記事で、高専の留年について触れてきました。高専は留年率と言う点だけで考えると、医学部よりも進級が難しい、とも言われるくらいです。実際になぜ高専はこんなにも留年率が高いのでしょうか。 今回は、なぜ高専は留年率が高いのか、高専のシステムの観点から私の経験を交えて考察していきたいと思います。高専に留年が多い理由1 赤点(欠点)のハードルの高さ 高専の特徴としてまずあげられるのは赤点のハードルの高さです。赤点とは、定期テストの点数で、ある基準のことを指しています。その基準より下だと、不可になってしまいます。つまり、単位を落とすことになります。 普通の高校では、赤点は20〜30点のことが多いと思います。一方で、多くの高専では赤点は一律60点です。例え、どんなにテストが難しく、クラスの平均点が低かったとしても60点と言う基準が覆ることはありません。そのため、多くの学生が赤点を回避するためにとても苦労することになります。高専に留年が多い理由2 出席回数の罠 この出席回数システムは本当に要注意です。高専によって具体的な値が異なる場合はありますが、システムとして、授業の1/ 5休むと強制的に不可判定に、1/3休むと未履修と判定されます。未履修と判定されると、例えどれだけ良い成績であったとしても、その時点で留年が確定してしまいます。 私の経験から、高学年になり高専生活に余裕ができた人が最も陥りやすい留年ルートとなります。高専にもよりますが、みなさんが思っている以上に授業を休める回数は少ないです。また、遅刻も欠席の半分に数えられます。 特に、前期だけで週1かつ2コマのような授業は休まない、遅刻しないことをお勧めします。休むにしても、同じ曜日を休むのではなく、休む曜日を重ねないようにしましょう。高専に留年が多い理由3 必修科目が多く、選択科目が少ない 大学に比べ留年率がとても高くなっているのは、選択科目の少なさも大きな要因です。大学では自分で履修する教科を選ぶことができますが、高専では選択科目はあるものの、ほとんどの教科が必修科目となっています。そのため、大学では単位取得が簡単な授業ばかり履修するという選択肢が取れますが、高専の場合は、必修科目が多く、きつい授業も取らざるを得ません。高専生は非常に難しい授業を避けることができないシステムのため、必然的に「単位を落とす人が多い授業」というのが生まれてしまいます。これこそが高専の留年率を高める一つの大きな要因と言えるでしょう。高専に留年が多い理由4 留年確定ルートが多い最後に、留年が確定するルートが多いことも留年率を高める主要な理由でしょう。大別して主な留年ルートとして3つあります。 1つ目は、累積不可単位が10単位以上になった場合のルートです。累積不可単位とは、これまで落としてきた単位の合計のことです。累積不可単位数が10個以下の場合、進級することができますが、10個まで積み重なった年で強制的に留年します。ちなみにこの累積不可単位数は高専により異なり、4単位の高専や12単位の高専があります。 2つ目は、必修科目を落とした場合のルートです。 必修科目とはその年に必ず履修しなければいけない科目の事を指します。この必修科目は1科目だけでも落としてしまうと強制的に、留年が確定します。 3つ目は、未履修になった場合のルートです。前述したように、定期テストでどんなに良い点数を取ったとしても、その科目の出席日数が足りていなければ不可、さらに足りていなければ未履修と言った形で判定されます。このように、一概にテストの点数だけでなく、出席日数や取得単位数などさまざまな要因が留年に結びついていることが、留年を多くしている理由と言えるでしょう。他にも、一科目でも総合評価が40点以下の科目があれば即留年という高専もあり、非常に進級難易度が高いのが高専と言えます。高専に留年が多い理由 まとめ いかがでしたでしょうか。高専には、普通の大学や高校にはない、特徴的な制度が多くあるため注意が必要です。高専の在学生でも意外と、これらの制度のことを知らない方も多いのではないでしょうか。留年するメリットはありません。早め早めの対策を心がけるようにしてください。