高専では、勉強の進みが速く留年する人も少なくありません。また、一度留年をしてしまうと、新しい環境に馴染めずそのまま卒業が難しくなるケースも多くあります。「留年をするとどんなデメリットがあるの?」、「留年をしてしまったら就職活動や進学に影響するのでは」と思う方もいると思います。こちらの記事では、そんな高専での留年に関する悩みや留年しないための方法についてまとめていきます。目次高専での留年の事実結論から言います。高専で留年する人が多いという噂は本当です。一般の高校と比べると、およそ10倍の3.7%であると言われています。資料3_高等専門学校における教育改善状況等に関する調査結果について(設問AからE)(概要)私の高専では1学年に120名ほどの学生がいたのですが卒業までには30名近くの留年者が存在し、 私の在籍した機械科だけで7名の留年者がいました。では、どの学年で留年する人が多いのでしょうか。どの高専でも共通して言えることは1、2、3学年、つまり高校生と同じ範囲の学生が留年することが非常に多いです。理由として考えられることは2つあります。留年をしてしまう理由を解説高専は試験科目が多い 高専では、3年生以降から本格的に始まる専門科目に向けて、入学時点から定期試験の試験科目が多いことが特徴です。この時に、高学年の専門科目に向けた基礎学力が身に着けられないと、留年をすることになります。高専生は一般教養科目に加え、莫大な数の専門科目の試験が課せられます。 私の高専では3年次に17科目ほどの教科があり、死に物狂いで勉強した記憶があります。5日間のテスト週間で15科目のテストを受ける必要があり、多くの人が単位を落としました。大量の試験科目に対応するには、「科目間のつながり」や「数学と物理を専門科目に活かす能力」が必要になります。高専で学ぶ内容を本質的に理解する事で、勉強する内容を大幅に減らすことができます。例えば私が高専で電気・機械系を専攻していたときは、10科目以上の専門科目を数学的に一般化する事でほとんど1科目のテスト対策をするように勉強を進めていました。こうすることで、他のクラスメイトがテスト勉強をする間に大学編入試験の対策や部活動をしながら、クラスでトップの成績を定常的に取り続けることができました。(テスト対策は1日に1時間程度しかしていませんでした)高専で成績を上げるには、工学と数学に対する知識に基づいた本質的な理解をすることが非常に重要です。高専の専門科目は難易度が高く、指導が困難高専に入学したは良いものの、思っていたものと違った、自分には合わなかったという学生は一定数存在します。入学する前にイメージしていた「高専らしい」活動をするには、高低学年の数学と物理をはじめとした基礎学力や地道な積み上げが非常に重要になります。一方で、専門科目まで理解をして数学や物理を指導できる塾が少なく、他塾からテクノゼミに来られた塾生さんは、専門科目以前に低学年の復習から勉強を進める必要の多い方がほとんどです。たとえ一般教養科目の成績がどんなに優れていても、専門科目で単位をとることができなければ留年することになります。特に高学年になるにつれ専門科目が増えると、成績がガクっと下がってしまう人も多いです。就職活動や大学編入では3年生以降の成績が重視されるため、低学年時点で専門科目に対応できる基礎力をつけることに失敗すると、卒業後の選択肢が狭まってしまうおそれがあります。高専卒業後の進路は、工業高校卒と同じ様に扱われるような求人から、旧帝大の大学院卒と肩を並べることができる企業まで幅広いため、高学年の成績によっては、生涯年収に数億円単位の差が出ます。関連記事定期試験にはテクニックが必要高専の定期試験は、単なる「暗記型」の勉強では乗り切れません。むしろ、表面的な理解で覚えた内容はすぐに忘れてしまい、次の学年や専門科目で苦労する原因になります。高専で成績上位にいる学生たちは、試験勉強の「テクニック」を身につけています。具体的には、科目間の繋がりを理解することと、過去問を徹底的に分析することが重要です。高専の試験問題は毎年ある程度の傾向が決まっており、出題者(先生)の癖や好みも見抜くことができます。さらに、基本問題を確実に押さえることが肝心です。いきなり応用問題に手を出すより、基礎問題で点を落とさないことを最優先に考えましょう。高専の試験は、全体の得点分布がシビアなので、基本をミスしただけで一気に順位が下がることも珍しくありません。留年をしてしまう人の特徴では、実際に留年をしてしまう人にはどんな特徴があるのでしょうか。私が高専生活で見てきた限りでは、次の3つに当てはまるケースが多いと感じています。1. 計画的に勉強を進められない高専のカリキュラムはとにかくタイトです。試験の直前になってから焦っても、そもそもの理解が追いついていないため、間に合わないことが多いです。日頃からコツコツ積み重ねる習慣がないと、気付いたときには手遅れになってしまいます。2. わからないことをそのまま放置してしまう高専の授業は進むスピードが早く、ひとつ理解できていない内容があると、その後の授業についていけなくなることがよくあります。わからないまま放置してしまうと、どんどん差が広がり、最終的に単位が取れなくなるという悪循環に陥ります。わからないことをすぐに先生や友人に聞いたり、調べて解決しようとする姿勢が大切です。3. 生活習慣が乱れている夜更かしやゲーム、アルバイトに夢中になってしまい、授業中に寝てしまう、課題をやらないなどの悪循環にハマってしまうケースです。生活リズムが崩れると集中力が低下し、学習効率も悪くなります。これが積み重なると成績が下がり、留年へと繋がります。高専での留年の条件を解説次は高専での留年の条件を紹介します。留年するには大きく分けて3つの留年条件があります。それぞれ詳しく解説していきます。累積不可単位数を超えて単位を落としてしまったとき1つ目は、累積不可単位がその高専が定める単位以上になった場合のルートです。累積不可単位とは、これまで落としてきた単位の合計のことです。学校によって異なりますが、5 - 10単位に設定されているキャンパスが多いです。単位を落としても、基本的には累積不可単位数以下の場合進級することができますが、保守などで回収できずに、落とした単位が積み重なっていくと留年してしまいます。単位を落とす条件は、定期テストと課題の評価点が60点以下の場合です。必修科目の単位を落としたとき 2つ目は、必修科目を落とした場合のルートです。 必修科目とはその年に必ず履修しなければいけない科目の事を指します。この必修科目は1科目だけでも落としてしまうと強制的に、留年が確定します。未履修に認定されてしまったとき 3つ目は、未履修になった場合のルートです。未履修とは、授業に参加していないということです。これは意外な落とし穴なので注意が必要です。定期テストでどんなに良い点数を取ったとしても、その科目の出席日数が足りていなければ不可、さらに足りていなければ未履修と言った形で判定されます。この判定は厳しくまた高専により細かな条件が異なるので、不安な方はぜひシラバスを見ることをお勧めします。 私 の高専では数回程度休んだだけでも未履修になる科目が存在したため冷や汗をかきました。留年をしないための勉強方法を解説高専で留年する人は理系センスがない??高専で留年をしてしまった人や単位を落としてしまった方には、「自分は理系にセンスが無いのでは」と自身を失ってしまう方も多くいらっしゃいます。しかし、高専に入学できた時点で、高専で扱う専門科目まで理解をする素養は有るはずです。高専での勉強の難しいところは、「自分が何をわかっていないかを知る」ことの難しさにあります。留年をしないための勉強方法例えば、私たちによくいただくご相談として、「高専での専門科目が理解できないから教えて欲しい」というものがあります。しかし、学習相談を進めて学生さんを指導してみると、実は1つ前の学年で扱った数学の概念を理解していなかったことが原因である、と分かることがあります。この場合は、専門科目の単位取得をサポートさせていただきながら、長期休暇の数学講習などで数学の理解を丁寧に確かめると、次のテストから一気に成績が伸びることがあります。高専の特徴として、専門性の高い先生方から直接専門科目の手ほどきを受けることが出来る、という良さがありますが、その分、内容を理解するための前提である他の科目の理解との接続性を確認する事は難しい、という背景があります。専門科目や数学、物理は科目間に関連性が深いため、大切な科目で単位を落とすと自身もなくしてしまい、専門科目も必然的に落としやすくなってしまいます。特に数学が苦手な自覚がある人は、早い段階で対策を打っておきましょう。高専生のための学習ノウハウ 留年を回避して成績アップするには高専での学びは、一般的な高校や大学のそれとは大きく異なります。講義のスピード、専門性の高さ、そして評価基準の厳しさ。これらを踏まえた上で、どうやって学習を進めていけば良いのか——。ここでは、高専での成績を上げる「学習ノウハウ」を紹介します。ノウハウ①「授業は理解度チェックの場」と割り切る高専の授業は、内容が高度かつスピーディーに進みます。そのため、「授業中にすべてを理解しよう」と思うと、かえって混乱してしまうことが多いです。むしろ、授業は「自分が理解できている部分」と「できていない部分」を確認する場だと割り切りましょう。授業でつまずいた箇所は、その日のうちに教科書や参考書を読んで復習し、理解を補完しておきます。これを繰り返すことで、苦手分野を潰しながら安定的に学力を伸ばせます。自分で理解をするのが難しい場合は、先生や塾講師に聞いて、かならず解決してください。ノウハウ②「専門書より、まずは教科書と講義ノート」高専生は「専門性」を求めて、難解な参考書に手を出しがちですが、まずは教科書と自分の講義ノートを徹底的にマスターするのが基本です。実際、試験の範囲や重要なポイントは、教科書と授業内の解説に集約されています。特に、試験直前は講義ノートの見直しと教科書の章末問題を繰り返すことで、短期間でも確実に点を伸ばすことが可能になります。ノウハウ③「過去問を研究し、傾向と対策を立てる」高専の定期試験では、過去問の分析が最重要と言っても過言ではありません。単に解くだけではなく、「どういうテーマが繰り返し出題されているのか」「先生は何を重視しているのか」を読み取ることが重要です。過去問の研究を重ねることで、「何をどこまで勉強すれば良いか」が明確になり、効率的な勉強スケジュールが組めます。テクノゼミの塾生も、まずは過去問の分析から始め、最短距離で合格ラインに達することを目指しています。テクノゼミでの単位取得対策テクノゼミの定期試験対策では、LINEで気軽に相談できるマンツーマンのオンライン指導で、高専卒旧帝大生の講師陣があなたの理解に合わせて個別指導を行うことで、赤点でご相談をいただいた塾生さんの8割以上で単位取得を実現しています。一人一人の理解に合わせて学校の勉強の進め方よりも立ち返った説明をしたり、より発展的な内容も指導出来るのが塾の特徴です。高専での勉強は、行き詰まると辛く感じることもあると思いますが、成績を上げることができれば社会に通用する確かな力をつけることができます。留年をしそう、勉強の進みが速くて難しい、という方は、1人で抱えずにぜひ気軽に無料学習相談へお越しください。テクノゼミの定期試験対策詳細はこちら