編入試験で必ずと言っていいほど課せられる物理学と数学の筆記試験。多くの高専生はこれまで数学に触れる機会は多い一方、物理学に触れる機会は少なかったのではないでしょうか。まさに筆者がその典型例であり、物理学の対策には非常に苦労した思い出があります。しかしながら、物理学はコツさえ掴めば確実な得点源となり、合格に大きく近づくでしょう。筆者の経験から物理学で高得点をとる上で意識するべき点を3つに絞り紹介します。ポイント 1 受験大学の中で最難関の過去問を徹底分析する編入試験を受ける高専生は多くの大学の併願を考えている人が大多数でしょう。その中で最も難易度が高い(志望度の高い)大学の過去問をまず見ることが非常に重要です。編入試験の物理学は大学によって傾向にばらつきは少なく単純に難易度が上下するだけであることが多いです。そのため、最も難易度の高い問題に標準を合わせることで自動的に他大学の対策にもなります。分析では具体的に5年分以上の過去問を集め、出題された問題が属する分野、その問題の解答に必要な公式・知識をひたすら書き出してください。これにより自ずとその大学が要求している知識や問題に対する考え方が読み取れるはずです。このとき注意するべき点は、先入観に囚われすぎないことです。例えば、東京大学では数年に1度、量子力学が出題されます。多くの学生は量子力学という分野に怯み、考える前に萎縮してしまうでしょう。しかし、徹底的に分析をすれば問題の本質に気づくはずです。編入試験に出題される量子力学、量子化学系の問題は、基本的に波動の1次元の問題、円運動の問題であり要求レベルは決して高くありません。高難易度の問題であったとしても行列計算が必要な程度です。先入観にとらわれず、とにかく過去問を徹底的に分析しましょう。ポイント 2 プライドを捨てて高校生の参考書から始める高校分野はわかるだろうと過信し、大学範囲を主に取り扱う参考書を手に取る受験生は多いのではないでしょうか。かく言う私もその一人でした。だが、これは決してやってはいけないことだと断言します。むしろ高校生の使う参考書に最も力を入れることを勧めます。高専生が学校で習う物理学は決して網羅していません。そのため初心に帰り ゼロ から学ぶことが最短距離です。加えて、編入試験に出題される問題の多くは下記の高校参考書より少し難しい程度の難易度です。高校範囲の徹底勉強が得点向上に最も強く影響します。高校範囲の学習を終えた後に大学範囲の参考書に取り組みましょう。筆者がお勧めする物理の参考書は下記の三つです。・物理のエッセンス・名門の森・新・物理入門問題演習(駿台) (良問揃いだが難易度が高い)ポイント 3 解法を日本語で超丁寧に記述する物理学の問題を解く上で最も重要なのは 「正しい式を立てること」です。のために必要なものは、問題のパターンの把握と物理学の知識の体系化です。基本的に物理の問題には決まった解法パターンが存在します。一見すると違う問題に見える問題も条件が異なるだけであることがほとんどです。ではどのように解法パターン、物理学の背景知識を得れば良いのでしょうか。これに至ってはただひたすらに問題をこなすしかないです。しかしただ大量に解くわけではなく、おすすめなのは解答を書く際になぜその立式に至ったかを日本語で丁寧に記述することです。基準は、解答だけ見ても問題が連想できるレベル、他人に解説できるレベルで説明しましょう。初めのうちは大変だと思いますが慣れれば全く苦ではなくなります。むしろメリットでしかないことに気づくはずです。ぜひやってみてください。上記のことを繰り返すことで問題文を見ずとも図だけから、使う公式や解法が浮かぶようになるはずです。そうなれば、物理学が編入試験の強力な得点源になっていくでしょう。まとめ以上、物理学で抑えるべきポイントを解説しました。再度ポイントを再掲すると、① 受験大学の中で最難関の過去問を徹底分析する ②高校生の参考書から始める③ 解法を日本語で超丁寧に記述する の 3 点です。初めのうちは、地道で楽しく感じないかもしれません。しかし次第に効果が見え始め、成績も改善し、勉強が楽しくなることは保証します。非常に楽しい学問へと移り変わることは筆者が保証します。数式で物事の未来を記述できることの感動をぜひ味わってみてください。